この症状、ブロック注射の適応となります

前回はブロック注射についてお話ししましたが、今回はどのような症状であればブロック注射が適しているかについてお話しします。ペインクリニック外来を受診する際の参考にしていただけるよう、一般的に多い症状を中心に説明していきます。

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急な腰の痛み(ぎっくり腰)

急な痛みの代表例として、「ぎっくり腰」があります。以前のブログ「この腰痛は何が原因?(ヘルニア?脊柱管狭窄症?ぎっくり腰?)①」でも少し触れましたが、腰部には椎間関節という関節が存在し、この関節が捻挫のような状態を引き起こすことで急な痛みが発生することがあります。急な姿勢の変化などが原因となり、背中にビキっとした痛みが現れることがあります。一般的に、痛みが出た後は比較的動けることが多いですが、時間が経つにつれて痛みが強まり、一度固まった姿勢を変えることが難しくなります。そのため、同じ姿勢を保つことで痛みは軽減しますが、腰を伸ばすことができず、歩行が難しくなることがよくあります。

痛みの原因を考えると、椎間関節は椎体(背骨の各部分)の隙間から出ている太い神経から分岐した神経が関節に伸びているため、この神経をブロックすることで痛みを緩和できる仕組みです。実際のブロック注射は、痛みを引き起こしている椎間関節を超音波やレントゲン透視装置を使用して確認し、局所麻酔薬やステロイドを注入する椎間関節ブロックが一般的です。椎間関節による痛みに対しては、NSAIDsなどの内服薬と併用してバランスよく治療を進めることができます。

「ぎっくり腰かも?」と思った場合、ぜひご相談ください。当院では診察を行い、痛みの原因を特定し、適切な治療方法を提案しています。

慢性的な腰の痛み、臀部痛、下肢の痛みや痺れ

次に、腰や下肢に痛みや痺れが続く症状について考えましょう。これらもブロック注射の適応となることが多いです。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、下肢の痛みや痺れの代表的な原因とされています。

椎間板ヘルニアは、椎体の隙間から出ている太い神経を圧迫することで、神経に関連する部位で痛みや痺れを引き起こします。一般的に、腰の椎体の下部がこのような症状を引き起こすことが多いです。

脊柱管狭窄症は、背骨の中で脊髄が通る脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫されることで神経症状が発生します。

これらの症状に対する治療として、硬膜外ブロックが効果的です。硬膜外ブロックは、神経の圧迫を直接解除することはできませんが、圧迫が続くことによる神経の腫れを軽減し、症状の改善を図ります。このブロックは、血流を調整する交感神経をブロックし、神経や周囲の組織の腫れを緩和する役割も果たします。

関節の痛み(肩・股関節・膝)

肩、股関節、膝の痛みは、日常生活でよく動かす部位として現れることがあります。これらの痛みにもブロック注射が適応となることがあります。通常、ヒアルロン酸を関節内に注入して関節の運動をスムーズにする治療が行われます。また、痛みが強い場合は局所麻酔薬をヒアルロン酸と共に注入することもあります。炎症を鎮める薬剤がヒアルロン酸に含まれる注射薬も存在し、これらを関節内に注入することもあります。

関節注射の適応は患者の診察所見や画像検査結果に基づいて判断されます。肩、股関節、膝の痛みを抱える方は、ぜひ一度診察を受けて適切な治療方法を検討しましょう。

頸部や首の痛み

デスクワークなどを行う方によく見られる症状の一つは、首回りの痛みです。これらの痛みに対しても、ブロック注射が適応となることがあります。骨や関節の変形がなく、神経症状がない場合は、筋膜に注射を行うトリガーポイント注射が一般的です。

一方、骨の変形が関与する場合や神経症状が出る場合は、腕神経叢ブロックや星状神経ブロックが有効です。頸部周辺の痛みの原因や症状に合わせて、適切な注射方法を選択します。ブロック注射とともに姿勢など日常生活の指導を併用させていただくことが多い症状となります。

頭痛

頭痛にも一部でブロック注射が適応となることがあります。一般的な片頭痛に対しては、内服薬が主に使用されますが、三叉神経血管系を調整する効果を狙って星状神経節ブロックが行われることもあります。

また、緊張型頭痛に対しても原因となりうる頸部の筋緊張の軽減や、筋自体の疼痛の軽減を狙ってトリガーポイントブロックや後頭神経ブロック、星状神経節ブロックが有効とされています。

頭痛の種類を推測しながら、内服薬とともにブロック注射を併用して治療を進めていきます。必要に応じて頭部のMRI検査などで頭痛の原因の検索を行っていきます。

まとめ

以上が代表的な症状と、それに対するブロック注射の適応についての説明でした。ブロック注射が必ずしも第一選択とは限りませんが、患者さんの日常生活への影響を考慮しながら治療方法を選択します。

皆さんが痛みに関する不安を感じずに受診できるよう、今後も痛みに関する情報を提供し続けます。質問や相談があれば、お気軽にお問い合わせください。健康な日常をサポートするお手伝いをさせていただきます。

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