ペインクリニック

ペインクリニックとは  (痛み外来:診察・検査・治療)

ペインクリニックは、痛みや疼痛に特化した専門医が診療を行います。
慢性的な痛みや難治性の疼痛を抱える患者さんに対して、痛みの原因を特定し、患者さんの日常生活に配慮した適切な治療や管理を行います。以下に、ペインクリニックの特徴と受診の流れについて説明します。

特徴

  1. 痛みに特化した専門医
    ペインクリニックには痛みに関する専門知識と経験を持った医師や医療スタッフが在籍しています。
  2. 多様な治療法の提供
    ペインクリニックでは、薬物療法、物理療法、神経ブロックなど、多くの治療法が提供されます。個々の症状や状態に合わせて、治療計画が立てられます。
  3. 痛みの原因追求
    ペインクリニックでは、痛みの原因を特定するために必要な検査や評価が行われます。病歴の詳細な聴取、身体的評価、画像検査、神経学的評価などが行われ、痛みの原因やメカニズムを明確にし、患者さんと診療の目標を決めて治療を行っていきます。

受診の流れ

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初回診察

ペインクリニックを受診する際には、まず初回診察が行われます。患者さんの症状や痛みの歴史を詳しく聴取し、身体的評価を行います。また、過去の検査結果や治療歴なども確認します。

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痛みの評価

痛みの程度、性質、場所、放散範囲などを評価するために、医師が適切なスケールや質問を用いて情報を収集します。これにより、痛みの原因を特定するための方針が立てられます。

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追加検査や評価

痛みの原因を特定するために、必要に応じて追加の検査や評価が行われる場合があります。これには、X線、MRI、神経学的評価、神経ブロックによるテストなどが含まれます。また、神経ブロックの種類によっては全身状態を把握するため定期的に採血を行う事があります。

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治療プラン

上記の情報を基に、痛みの原因や状態を考慮して、個別の治療プランを立案します。これには、薬物療法、神経ブロック、物理療法などが含まれます。

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治療の実施とフォローアップ

治療効果や副作用の評価を定期的に行い、必要に応じて治療計画の調整やフォローアップが行われます。

代表的な症状と疾患

ペインクリニック外来では、さまざまな疾患や症状を診療しています。
以下に、よくみられる疾患の一部を挙げますが、これに限定されるものではありません。ご相談ください。

  1. 首・肩の痛み: 頸椎症、肩関節周囲炎、石灰性腱板炎など
  2. 頭痛: 片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛など、慢性的な頭痛症状
  3. 膝関節痛: 変形性膝関節症、半月板損傷、関節炎など
  4. 腰痛・坐骨神経痛:腰部や仙腸関節の痛み、坐骨神経の圧迫による足の痛みやしびれ
  5. 腰椎や頸椎の変形性疾患: 脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎分離症など
  6. 神経障害性疼痛: 糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害に伴う疼痛など
  7. 癌疼痛: がんによる慢性的な疼痛や転移痛
  8. 複合性局所疼痛症候群(CPRS): 骨折や手術後の疼痛が続く状態

ペインクリニックでは、患者さんの痛みや症状に対する個別のアプローチが提供されます。痛みの軽減や生活の質の向上を目指すために、医師や医療スタッフとの協力とコミュニケーションが重要です。
痛みに関する悩みがございましたら、webまたはアプリからご予約、問診票を記載していただき、当院にご相談ください。

神経ブロックとは  (硬膜外ブロック・星状神経節ブロックなど)

神経ブロックは、疼痛や症状を軽減するために神経に薬剤を注入する治療法の一つです。神経ブロックは、特定の神経や神経叢(神経の束)に対して行われ、その神経が担当する部位や組織に直接作用します。

神経ブロックの方法と薬剤

神経ブロックでは、医師が細い注射針を使用して特定の神経に薬剤を注入します。一般的には、局所麻酔薬やステロイド薬、または両方を使用します。
麻酔薬は神経の伝達を一時的にブロックし、痛みや症状を軽減します。ステロイド薬は炎症を抑え、腫れや痛みを減少させる効果があります。注入された薬剤は局所的に作用し、近隣の組織にほとんど影響を与えません。

神経ブロックの利点

  1. 痛みの軽減
    神経ブロックによって、痛みや痺れ、知覚異常などの症状を軽減することができます。
  2. 自律神経へのアプローチ
    痛みによる交感神経の興奮は、血流不全を起こし痛みの悪循環を生みます。神経ブロックによって交感神経を抑制し、血流を良くすることで痛みの悪循環を断つことができます。
  3. 長期的な効果
    ステロイド薬を含む神経ブロックは、一時的な鎮痛効果だけでなく、炎症の抑制による長期的な効果も期待できます。
  4. 非侵襲的な治療法
    神経ブロックは外科手術を必要とせず、比較的非侵襲的な治療法です。
    ただし、神経ブロックには一定のリスクや合併症が存在する場合もあります。これらのリスクは個々の状況や治療範囲によって異なるため、医師との相談が重要です。医師は患者さんの症状や健康状態を評価し、適切な治療方法を提案します。

神経ブロックの種類と適応

  • 神経根ブロック
    神経根ブロックは、脊椎から出てきた特定の神経根に対して麻酔薬やステロイド薬を注入する手法です。神経根ブロックは、腰部や頸部の椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などの痛みを軽減する目的で行われます。
  • 硬膜外ブロック
    硬膜外ブロックは、脊椎の中にある硬膜外腔という空間に麻酔薬やステロイド約を注入する手法です。主に腰部や頸部の疼痛や炎症を和らげるために行われます。脊柱管狭窄症、腰椎分離症、坐骨神経痛、頚椎症などの症状の軽減に有効です。
  • 星状神経節ブロック
    星状神経節ブロックは、頸部の星状神経節に対して麻酔薬を注入する手法です。このブロックは、交感神経の過剰な活動によって引き起こされる顔面の疼痛、緊張型頭痛、上肢の神経痛などの症状の緩和に用いられます。
  • 肩関節ブロック
    肩関節ブロックは、肩関節周囲の神経に対して麻酔薬やステロイド薬を注入する手法です。肩関節の炎症や痛み、関節の可動性障害などの治療に用いられます。
  • 膝関節ブロック
    膝関節ブロックは、膝関節周辺の神経に対して麻酔薬やステロイド薬を注入する手法です。膝関節の炎症や変形性関節症の関節の痛みや腫れの軽減に用いられます。

これらは一部の代表的な神経ブロックの例となります。実際にはさまざまな神経ブロックがあります。具体的な治療方法や適応は、患者さんの症状や状態に合わせて提案します。

当院の検査・設備(ペインクリニック)

レントゲン検査

頚椎・腰椎など脊椎や、肩・膝など各関節などに関して診察室のそばにあるレントゲン室で診察の内容をふまえて必要に応じて検査していきます。レントゲン検査後はそのまま診察室ですぐに検査結果をお伝えできます

透視装置

当院のレントゲンは特殊な装置を備えており、透視という連続してレントゲンのような画像をみることができます。そのため、神経ブロックなどで関節や脊椎など骨を見ながら注射することができ、主に造影剤を用いる場合に使用してきます。

生体モニター

神経ブロックを行う場合、ブロック注射の内容によって生体モニターを装着させていただきます。生体モニターとは血圧や酸素の飽和度を測定する、心電図を測定するなど体の情報を一度に複数測定できるモニターです。患者さんの状態の変化にいち早く気付くことができます。

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超音波装置(エコー)

内科で検査などに使う超音波装置ですが、ペインクリニックにおいても使用します。超音波で患部を見ながら神経を同定してブロック注射を行う場合もあります。その他、血管など体に重要な部位を避けながら注射をするために用いる場合もございます。