ブロック注射って何者?

当院ホームページのペインクリニックでもご紹介しておりますが、ブログでももう少し診療の流れに沿って『ブロック注射』の説明を行い、皆さんと情報共有をしていきたいと思います。

目次

・ブロック注射の適応は?

ペインクリニック外来では、痛みの原因や性質を診察や検査によって詳細に評価し、それが皮膚・筋肉・骨・関節に関連する痛みなのか、神経に関連する痛みなのか、あるいはその両方の因子が絡んでいるのかを診断しています。これにより、症状の経過や時間的な要因も考慮し、治療方針を決定します。

ブロック注射は、疼痛や症状の軽減を目的として、筋膜、関節、または神経に近い位置に薬剤を注入する治療法です。局所麻酔薬という痛み止めや、ステロイドのような炎症を抑えるお薬を使用することが多いです。注射付近や関連する神経に作用することによって症状の原因となっている部位や組織に効果をもたらします。通常、一般的な痛みは内服薬を使用して治療を試みることが一般的ですが、ペインクリニックの治療においても同様に内服薬を最初に考慮します。ただし、内服薬単独治療にはいくつかの問題点が存在します。

・内服治療のみの問題点は?

痛みや痺れなどの症状が重度の場合、内服薬単独では十分な症状コントロールが難しいことがあります。この場合、十分な効果を得るためには高用量の薬剤が必要となり、それに伴って副作用のリスクが増大します。薬剤の量が増えることにより、副作用が強く現れやすく、特に強力な疼痛薬は体内の他の正常な組織にも影響を及ぼす可能性があります。たとえば、一般的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一つであるロキソプロフェンは、効果が速く現れる反面、胃粘膜や腎臓に負担をかけることが知られています。そのため、胃潰瘍などの副作用を防ぐために、胃粘膜保護薬との併用が行われることがあります。また、腎機能が低下している患者には注意が必要です。

このように、一つの治療方法で症状を解消しようとすると、治療薬の量を増やす必要が生じ、薬剤バランスが悪化する可能性があります。治療の薬剤バランスが不適切な場合、症状が不十分にコントロールされるか、副作用が発生しやすくなります。症状に対して内服治療だけでは適切なバランスが難しい場合、ブロック注射を検討していきます。

・ブロック注射って痛いの?

ブロック注射にはさまざまな種類があります。筋膜に行われるトリガーポイント注射の場合、一般的にワクチン接種と同様の太さの針が使用されますので、注射の痛みは比較的軽減される傾向があります。一方で、脊椎から出てくる神経根に注射を行う神経根ブロックの場合、神経に直接針を当てる場合があるため、注射に伴う刺激が強く感じられることがあります。

注射による痛みは、ブロック注射の種類や個人差によって異なります。当院では、超音波装置を用いたブロック注射やレントゲンによる透視装置を利用することにより、できる限り正確かつ迅速に細い針を使用して注射を行い、患者さんへの負担を最小限に抑えるよう努めています。

・ブロック注射の悪い部分は?

ブロック注射にも問題点が存在します。まず、注射部位における出血や感染が挙げられます。そのため、抗血小板薬や抗凝固薬など血液を希釈させる薬を服用されている場合、受けられるブロック注射の種類に制約が生じることがあります。出血が神経に影響を及ぼすと、神経症状が悪化する可能性があるため、血液をさらさらにする薬を服用している患者に対するブロック注射は制限されています。

感染のリスクも問題とされます。感染に対するリスクは、皮膚のバリア機能が低いアトピー性皮膚疾患など、皮膚の状態や免疫抑制療法を受けている患者に影響を及ぼすことがあります。感染のリスクを最小限に抑えるために、ブロック注射の際には衛生対策が徹底されています。

また、ブロック注射が効果過多になり、運動神経にまで影響を及ぼす場合があります。薬剤の効果が治まるまで安静が必要となります。ブロック注射自体で神経損傷を引き起こすことは稀ですが、症状が疑わしい場合、他の病院で神経の検査を行いつつ、神経修復を促す治療が行われます。ブロック注射に伴う副作用や合併症に関しては、保険治療の規定に基づいて対処しています。

・ブロック注射はいつまで行うの?

内服治療とブロック注射治療について患者さんと共に検討し、最適な治療方針を決定しています。ブロック注射が適切な場合、最初の一カ月間は通常週一回のペースでブロック注射を実施し、その後は症状の改善状況を観察しながら、注射の頻度を調整し、内服薬の調整を行うことが一般的です。初診時などに患者さんとの治療目標を設定してあるため、最終的にはその目標に達した場合は一旦ブロック注射を中止し、通常の日常生活でどれだけ快適に過ごせるかを確認します。その後も、必要に応じてブロック注射の頻度を調整しながら治療を継続する場合もあります。

まとめ

ブロック注射は何者?はいかがでしたでしょうか。患者さんへブロック注射についてすこしでも情報・知識を増やしていただき、治療へ積極的な参加ができるようなきっかけになるように、これからも色々な発信を行っていきたいと思います。

患者の皆さんが痛みに関して不安を感じずに受診できるよう、今後も痛みに関する情報を提供してまいります。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。健康な毎日をサポートするお手伝いをしてまいります。

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