帯状疱疹関連痛について

帯状疱疹関連痛について

ネットのニュースなどでも帯状疱疹で病院に受診する方が多いとよく目にします。当院でも帯状疱疹による痛みの患者さんの受診が多く、そのため皆さんに情報を共有できたらと思います。

目次

①帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことがある人が、免疫力が低下した際に再びウイルスが活性化して発症する病気です。

ウイルスが潜んでいた神経に沿って皮膚に発疹や痛みが現れることが一般的です。

②症状は?

帯状疱疹の主な症状は、皮膚の発疹と痛みです。多くの場合、皮疹が出現する数日前に痛みやかゆみ、皮膚の異常な感じが現れます。皮疹は赤い斑点から水ぶくれへと進行し、神経に沿って拡がっていきます。

同時に発熱などの全身症状も現れることがあります。帯状疱疹による合併症としては、脳炎や網膜炎などがあり、ラムゼイ・ハント症候群という顔面の神経や耳への症状や、神経への影響によって運動麻痺が起こることもあります。

合併症によっては皮膚科だけではなく、眼科や耳鼻科、脳神経内科などの専門医へ紹介を早急に行う形で対応いたします。

③治療方法

帯状疱疹の治療では、痛みの緩和と合併症の防止が重要です。抗ウイルス薬が中心となりますが、特に発症から72時間以内に投与することが推奨されています。

症状が現れたら、早めに皮膚科やかかりつけ医に相談しましょう。痛みに対しては鎮痛薬や皮膚への薬物が使用されます。

当院では紹介によって来院された患者さんに対して内服薬の確認を行い、必要に応じて追加で処方が必要か判断していきます。

④ペインクリニックでの対応

帯状疱疹の早期の段階では、神経や皮膚の炎症による痛みが主な問題です。こうした場合、炎症を抑える内服薬が有効です。

一方、神経による痛みが続く場合は、神経の痛みの伝達を抑える作用のある内服薬の投与を検討します。これらで対応が難しい場合は、神経ブロックが考慮されます。

顔の痛みには三叉神経ブロック、星状神経節ブロック、上肢や体の痛みには腕神経叢ブロックや硬膜外ブロックが行われます。治療方法は症状や所見に応じて選択していきます。

⑤予後と今後の対策

帯状疱疹は合併症がなく治ることもありますが、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる長期間にわたる痛みが残ることもあります。早期に痛みが緩和されるケースが多いですが、痛みが3か月以上続く場合、帯状疱疹後神経痛と診断されます。

高齢や皮疹の重症度、皮疹に先行する痛み、皮疹発現時の強い痛みなどがリスク要因です。診察の際にはこれらの経過や所見があったかお聞きしていきます。

まとめ

帯状疱疹は、再活性化したウイルスによって皮膚と神経に影響を及ぼす病気です。痛みや発疹が特徴的で、早めの治療が大切です。ウイルスへの治療と痛みの緩和が行われ、合併症を予防するためにも専門医の診断を受けることが重要です。

また、帯状疱疹は発症すると治癒が難しい症例もある事から、発症の予防策としてワクチン接種も有効とされています。ワクチンの種類によって対象年齢制限や効果が異なりますのでご興味のあるかたはご相談ください。

痛みの原因、日常生活への影響、それに対して治療の目標を立てて治療を行っていきますのでペインクリニックを是非ご利用ください。

                         こすぎ坂本医院 坂本典昭

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