ペインクリニック外来の問診票を有効につかうコツ①(急性疼痛・慢性疼痛)

こんにちは、こすぎ坂本医院の院長、坂本典昭です。

ペインクリニック外来の問診票で、初診の際に記入いただく項目について、詳しくお話ししていきます。

当院の問診票には初診時に【いつから症状(痛み)がありますか】という症状に対して時間の経過を質問する項目があります。なぜ時間の経過を把握する必要があるか皆さんと情報共有していきたいと思います。内容を理解することによって受診時に痛みの原因や治療方針をより詳しく把握することができます。

目次

1. 時間的な分類で理解する痛みの種類

痛みを時間の経過で分けることで、痛みの性質や治療方法をより正確に把握できます。急に痛みが起きる『急性疼痛』と、痛みが長い間続く『慢性疼痛』について考えてみましょう。

  • 急性疼痛:急な痛みで、例えば打撲のような外傷やギックリ腰のような急な症状が該当します。この痛みは体の中の炎症物質が関連することが多く、冷やしたりして対処を行っていきますが、一般的には数日から数週間痛みが続きます。
  • 慢性疼痛:長い間続く痛みで、3か月以上続く場合を指します。この痛みは神経の異常興奮に関連することが多いです。急性疼痛とは異なり冷やすより温めると症状が緩和することが多いです。

2. 時間の経過で分ける理由

急性疼痛と慢性疼痛を分けるのは、治療方法の違いから来ています。

急性疼痛では、外傷などが多く、怪我への一般的な対処である【冷やす・挙上する・圧迫する・安静にする】といった処置に加えて、炎症物質による痛みを抑える内服薬や湿布などが効果的であることが多いです。

一方、慢性疼痛は神経関連の痛みが主となることが多いですが、それ以外にも痛みの機序が複雑に絡んでくるため、より綿密な治療計画が必要です。慢性疼痛について少し詳しくみていきます。

3. 慢性疼痛へのアプローチ

慢性疼痛は、痛み信号の伝達に神経の興奮が関わることが多いです。神経の興奮を整える薬が効果的であり、その他にも治療方法があります。

  • 内服薬:痛みの性質に応じて薬を調整します。神経の興奮を抑える薬や、筋肉の緊張を和らげる薬、脳から脊髄へ痛みを緩和させるための信号を送る薬など、痛みの機序が複雑な場合は多くの内服薬が併用されることもあります。
  • 神経ブロック:神経の興奮を遮断するための局所麻酔薬を使った治療です。また神経や筋肉など痛みに関連する組織の血流不良が痛みを増悪する原因になることが多いです。神経ブロックは血流不良を起こす原因の神経をブロックすることにより血流の改善を促す効果もあり、慢性疼痛には効果的な方法です。痛みの原因や症状、全身状態を考慮して神経ブロックの適応になるか検討していきます。
  • 日常生活へのアプローチ:痛みによって、痛みを避けるような行動がでることがあります。その結果、痛い場所を動かさなくなり筋肉が固まってしまったり、関節の動きが悪くなる、痛みがさらに出やすくなるなど負の循環になることがあります。当院では内服薬や神経ブロックで痛みを緩和している間に、日常生活で制限が出ていた部分をご自身で積極的に動かしていくことによって、治療の成果を実感していただけるよう体の使い方を含めてアドバイスをしていきます。

まとめ(急性疼痛と慢性疼痛)

急性疼痛と慢性疼痛は異なるアプローチが必要です。急性疼痛には炎症物質の抑制を内服治療で行っていくのが効果的であり、慢性疼痛には内服薬に加えて神経ブロックなどの方法が活用されます。そのため、ペインクリニック外来の初診の際は問診票を是非活用してください。皆さんと痛みの原因や治療方針について考える大事な情報となります。

患者の皆さんが痛みに関して不安を感じずに受診できるよう、今後も痛みに関する情報を提供していきます。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。健康な毎日をサポートするお手伝いをしていきます。

当院ペインクリニック受診方法(川崎市中原区 東急線・JR線 武蔵小杉駅徒歩3分)

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